大麻取締法改正に関する意見書

弊社から3つのパブリックコメントを提出させていただきました。

【まとめ】

日本国内での医療用大麻や大麻製剤の利用が見込まれている。2024年4月にはCBDが希少病指定医薬品として認定され、エピディオレックスが初の医療用大麻製剤として承認される予定である。しかし、医療用大麻の運用には適切な投与量の管理が必要であり、特にエピディオレックスは難治性てんかん治療薬として子供が多く使用するため、慎重な投与量の管理が求められる。

日本は戦後以降カンナビノイドを薬として利用した経験がないため、国際基準や他国の実績を参考にすることが重要である。WHOやFDAのガイドラインに基づき、子供や高齢者、既存の健康問題を持つ人々への安全策を講じる必要があるにも関わらず、今回の規制案において提案されている不当に低いTHCの閾値(1ppm)のように、厚生労働省はデータや国際基準に基ない判断をしている可能性があり、運用上の懸念が残る。厚生労働省には、追加の資料の提出と、国際基準に準じたカンナビノイドの取り扱いを求める。

【本文】

今回、大麻取締法を改正するにあたって、今後は承認されれば実質的に国内でも医療用大麻、もしくは医療用大麻製剤が利用可能になる。例えば、CBDは2024年の4月付で希少病指定医薬品となり、治験を終えたばかりのエピディオレックスが近々国内初の医療用大麻製剤として承認される予定だと伺っている。(1)これに伴い、今後は大麻やTHCを麻薬として扱うと同時に、使用罪を創設するという法案が昨年の12月に国会に提出された。これはつまり、今までなんの医療的価値もないとされてきた大麻草を今後は有用な薬として認め、また患者に処方する際には、他の一般的に認められている処方箋などと同等に扱うと理解している。

しかし、現在の日本には医療用大麻を運用するためのフレームワークが存在してない。いかなる薬でも医療目的での使用においては、適切な投与量の制限と管理が必要になり、カンナビノイドも例外ではない。例えば今回のエピディオレックスは、主に子供が患者として多い難治性てんかんの治療薬であるため、余計に慎重に投与量の管理や、投与方法の訓練を行う必要があると考える。

例えば、大麻製剤を子供に投与する場合、だれが投与量の制限や摂取量の管理を担当するのか?今回はまだエピディオレックス(CBDアイソレート)だけとはいえ、これまでなんの医療的価値もないとされてきた危険な植物由来の成分が初めて医療利用されるというのは事実であり、実際に患者に使用する小児科医や内科医などに、カンナビノイドの効果とリスクを十分に理解し、個々の患者の状態に応じて適切な投与量を決定できる専門家が十分な数いるかどうかについて疑問を感じる。

エピディオレックスの使用においての目安は、初期投与量が1日あたり 5 mg/kgから開始とされており、患者の耐性と症状の改善に応じて、2週間ごとに 5 mg/kg/日ずつ増量することが可能という指標が研究から提示されている。そして、最大投与量は50 mg/kg/日が推奨されている。(2)(3)これは仮に難治性てんかんの子供の平均年齢を10歳、平均体重を30kgと仮定した場合、エピディオレックスの初期投与量は、150 mg/日 となり、最大投与量は1500 mgとなる。この初期投与量と最大投与量の間には10倍の開きがあるため、実際には調整が必要となり、またこれらの推奨量は、エピディオレックスが治療効果を発揮するための一般的なガイドラインであり、患者ごとに調整が推奨されている。

エピディオレックスは、高純度のCBDアイソレート製剤であるため副作用が少ないとされているが、CBDは副作用が全くないわけではなく、CBDを過剰に摂取をすると、過鎮静、眠気、下痢や、悪心などの一時的な不快感や副作用を伴うことがある。CBDアイソレートであっても、個人差はあるが数百mg~1000mgも摂取したら、耐性によっては過剰摂取にあたる場合がある。(4)

また、CBDは肝臓の酵素の1つであるシトクロムP450を強く阻害することが報告されている。(4)シトクロムP450はグレープフルーツにも含まれており、風薬との飲み合わせが危険視される原因でもある。通常は飲んだ量の3/4以上が消化管で分解されるような薬でも、シトクロムP450が阻害されている場合であれば、そのまま消化管を通過して血中に入ってしまい、想定していた何倍もの効き目が発揮されてしまうため (5)、CBDと特定の薬の飲み合わせには注意が必要である。

さらに、エピディオレックスの製造企業であるGW製薬のシニア・メディカル・アドバイザーを勤めていたイーサン・ルッソ博士曰く、「約97%の純度のCBD製剤であるエピディオレックスでさえも、微量な残存THCを含んでいる」という(6)。厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は、今回の規制にあたって、「濫用による保健衛生上の危害」が発生しないTHCの値として1ppm(0.0001%)を提案しているが、エピディオレックスの残存THCの量や、CBDの保管条件によるTHCヘの変質可能性を考慮すれば、1ppm以上のTHCがエピディオレックスに含まれている可能性があり、その場合であれば、「濫用による保健衛生上の危害」が発生する可能性があるため、取り扱う医師や専門家は尚更細心の注意を払う必要がある。

以上のことからCBD製剤でさえも、本来であれば注意を払って、データや根拠に基づいた正しい知識と訓練を経て行う必要があると考えるが、今後大麻製剤を子供に投与する場合、だれが投与量の制限や摂取量の管理を行うのか?また、これらの制限や投与量は、どのようなデータや根拠に基づいて確立されるのか?そして、例えば、子供、高齢者、既存の健康問題を持つ人々などが、潜在的に有害な量を摂取してしまうことを防ぐための規制の枠組みや安全策が存在するか?

さらに日本はカンナビノイドを薬として利用した例は戦後以降なく、またつい最近まで大麻草は、医療的な価値すらないとされていたのに突然薬になったが、薬として運用していくための盤石なフレームワークと訓練を全国の医師、看護師や、病院などに実施させる合理的な資金や人手はあるのか?

いずれの点においても多くの疑問点が残る。本来であれば、これらのフレームワークは、国際的な基準や他国での実績、研究結果を参考にし、適切な範囲内での投与量を設定するべきなので、WHOやFDAなどのガイドラインを参考にし、子供の体重や年齢、病状に応じた投与量を決定するべきだと考える。しかし、この度の命令の案で提案されている、THCの値(1ppm)は、非現実的であり、実際に医療大麻を認めている他国や、その他のCBDが流通している先進国と比べても非常に低い値である上に、この値が「濫用による保健衛生上の危害が発生」するに相当する値である理由も十分に説明されていない。以上のことから、この値を提案した厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課はデータに基ない規制案を提案している可能性が高く、またこれを容認している厚生労働省は大麻やカンナビノイドに対して十分な知識と理解がないと考える。

国際基準や、運用実績に基づいて考えるのであれば、THCの閾値は現在のEUやWHOが推奨している基準である0.2%、もしくは米国基準の0.3%が妥当であり、またこの基準値以内であれば健康被害も確認されていない。反対に、上記の値から逸脱した数字が実際に採用される場合であれば、厚生労働省や日本政府は科学や国際基準に基ない規制を行っていることになり、医療用大麻を運用するためのフレームワークに関しても、科学的な根拠に基づいて定められていない可能性がある。

【結論】

この国には医療用大麻の専門家もいなければ、カンナビノイドに関する知識もデータに基づいて判断していないように見える。従って、どのようにして、大麻製剤を運用していくつもりで、どんな根拠やデータに基づいて、そのフレームワークを是とするのかを提示していただきたい。CBDとTHCは化学的に密接な関係にあり、また臨床においても相乗効果が重要視されていることは国際的な共通認識である。大麻製剤としてCBDを認めるのであれば、同じだけ信頼性のある研究やデータに基づいてTHCを評価すべきであり、これが達成されずに不当に低いTHCの閾値を設定するのであれば、それは厚生労働省および、日本政府がデータに基づかずに薬物の規制や投与管理を行っていることとなる。

全ての物質は本質的には毒であり、その物質の毒性を決めるのは投与量のみである。仮にTHCの含有値が0.02%のCBDでも1kg摂取すれば20mg摂取できるのに対して、THC99%でも0.01mgなら有害性はないと考える。重要なのはどのようにして、その摂取量の制限を定め、管理していくかという点である。

日本政府にはどのように医療用大麻を運用していくのかのフレームワークを提示していただくと同時に、国際基準や、科学的に信頼性のあるデータに基づいてTHCの値を決めるように求める。そして、適切なTHCの値としては、EUやWHOが推奨している0.2%、もしくは0.3%が妥当である。高濃度のTHCは確かに精神病などのリスクが指摘されているが、1%を下回るTHCが原因で事故に繋がったケースは現在までに確認されておらず、またその精神活性作用および毒性は低い。

【参考】

(1) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA263TH0W4A420C2000000/

(2)Epidiolex as adjunct therapy for treatment of refractory epilepsy: a comprehensive review with a focus on adverse effects – PubMed (nih.gov)

(3)Higher cannabidiol plasma levels are associated with better seizure response following treatment with a pharmaceutical grade cannabidiol – ScienceDirect

(4)CBDのすべて: 健康とウェルビーイングのための医療大麻ガイド

(5) http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi2/mnb2-4.html

(6)https://mobile.x.com/greenzonejapan/status/1802555343945539919/photo/3

 

【まとめ】

今回のTHCの閾値1ppmは、欧州(0.2%)や米国(0.3%)などと比較しても極めて低い値であり、現実的に達成するためには多くの経済的な損失や、公衆衛生上の問題が発生することが危惧される。

具体的には、法案の施行コスト、新たな検査機器などの導入コスト、検査コスト、犯罪者の収監コスト、巨額な税収入の機会損失、および、事業者に対する賠償コストなどが、具体的な経済的な損失として挙げられる。また、公衆衛生上のリスクとして、違法薬物の流通の増加、ユーザーの誤逮捕、医療的必要性のある患者が十分なリソースにアクセスできなかったり、違法な代替品への移行などが考えられる。

それに対して、国際基準に準拠したTHCの閾値を定めることにより、国際間のユーザー、患者や物流の制限を遮ることなく、CBD産業を成長させることが可能である上に、経済的な恩恵を期待することができると考える。

 

【本文】

今回、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課から提案されたTHCの閾値1ppmは、欧州(0.2%)や米国(0.3%)などと比較しても極めて低い値であり、現実的に達成するためには多くの課題が残る。従来であれば、0.02%-0.03%まではTHCが含まれていたとしても通関することが可能であり、また麻薬取締部は過去に、0.3%までのTHCが含有されているCBDを通関させていたケースが報告されている。(1)にも関わらず、今回提案されている値は1ppmであり、これは慣例上、許可されている0.02-0.3%のTHCの閾値を大幅に下回る。この規制案が採用されることとなれば、国内のCBD企業の大半が大きな損害を被る上に、公衆衛生上の懸念が発生する恐れがあるため、以下の点について意見を述べる。

①原料の破棄による経済的な打撃

国内の合法CBD市場は2023年時点で240億円にものぼり、2026年には606億円(2023年)の違法大麻市場を超えると予想されている(6)。CBDは既にコモディティ化されており、今やドン・キホーテ、コンビニや、自動販売機でさえも見かける。しかし、どのようなCBD製品であっても、今回提案されたTHCの閾値1ppmは現状ではクリアできていないと考えるのが妥当であるため、一度全て破棄をする必要がある。全ての正規通関しているCBD原料は、税関で関税を徴収されているため、正当な理由なく破棄を命ずることはいかなる場合であっても違法であり、相応の賠償が求められる。

②1ppmに準拠したCBDのコスト

1ppmは非常に厳格な値であり、通常合成、もしくはクロマトグラフィーを用いた分離などが必要になるため、現在の価格よりも原料が高騰する可能性がある。CBD市場は成長市場ではあるが、未だに市場は未成熟であり、2026年にかけて大きく伸びていくと予想されている。しかし、今回の法規制によりCBDのコストが無駄に上がってしまうと、需要が下がってしまうため、産業全体が尻すぼみし、貴重な成長産業を失う可能性がある。

③取り締まりコスト

ハーバード大学の経済学者ジェフリー・ミロンの研究によれば、大麻の禁止により、アメリカ政府は年間77億ドルを取り締まりに費やしている(3)。アメリカ自由人権協会(ACLU)の報告によると、年間80万人以上が大麻関連で逮捕されているにもかかわらず、使用率の低下には繋がっていないため、コストだけがかかっている(3)。また、公衆衛生上の問題を解決するためであれば、他の犯罪防止政策や健康教育などに資金を振り向ける方が、より効果的かつ効率的であるとの意見も多く出されている。あらゆる研究において、薬物の取り締まりや規制が、薬物の乱用や供給数の減少に繋がるデータや、事例はなく、反対に全てのケースにおいて、取り締まりコストの増加が確認されている。CBDに微量に含まれているTHCを厳格に取り締まる必要性に対して、かかる検査コストが計り知れないため、どこの財源から、いくらを、どのように捻出するのかまで考慮に入れると経済的な合理性はない。

④カンナビノイド産業の税収

ハーバード大学のミロン博士は、アメリカ政府は年間77億ドルを取り締まりに費やしているが、合法化により例えばタバコやアルコールに課せられるのと同等の税率を課せば、年間62億ドルの収入が得られると主張しており、これは合計139億ドルの節約と収入となる(3)。また、カトー研究所の報告によると、ドラッグの合法化によって政府予算に与える影響は、合計で1067億ドルの節約および追加収入になるとされており、これは、取り締まりコストの削減と税収の増加を含む(4)。加えて、米国の大麻規制は年間311億ドルの機会損失を生んでいるという指摘もある。2021年から2023年の間に、アメリカ全体でCBDを含むカンナビス関連の税収は57億ドルに達していることからも、日本でも正しく市場をコントロールすれば、十分な税収を見込める産業へと成長する可能性があり、そのためには適切な市場の規制とコントロールが必要不可欠である。(5)

⑤THCの厳格な規制による公衆衛生上の影響

2011年6月、薬物政策国際委員会は薬物戦争に関する批判的な報告書を公表し、「世界規模の薬物との戦争は、世界中の人々と社会に対して悲惨な結果をもたらし失敗に終わった。国連麻薬に関する単一条約が始動し、数年後にはニクソン大統領がアメリカ合衆国連邦政府による薬物との戦争を開始したが、50年が経ち、国家および国際的な薬物規制政策における抜本的な改革が早急に必要である」と宣言した。同報告書の内容をまとめると以下の通りになる。(6)

– 拡大する違法薬物市場:国際連合のデータによると、1998年から2008年にかけて、オピオイドの使用者は34.5%、コカイン使用者は27%、大麻使用者は8.5%増加しており、規制が薬物の減少につながるデータはない

– リソースの減少:薬物の取り締まりに多額の資源が投入される一方で、公衆衛生や社会プログラムへの投資は減少したため、薬物市場に関連する暴力や汚職が増加した

– バルーン効果:取締りが強化された地域から薬物生産が他の地域へ移動する「バルーン効果」が発生し、例えばラテンアメリカから西アフリカへの薬物生産の移動が見られた

– 代替品への移行:一部の薬物が入手困難になると、消費者が他の薬物や類似薬物に移行する現象が発生する

– 犯罪者としての扱いとスティグマ:薬物使用者は犯罪者として扱われ、社会からの排除やスティグマに直面した

– 暴力と犯罪の増加:薬物市場関連の暴力は、取り締まりの強化によって91%増加することが研究で示されている

– 経済的悪影響:国連の報告によれば、違法薬物市場の拡大により、犯罪ネットワークが政府、国家機関、軍に浸透し、汚職やマネーロンダリングが政治を歪め、さらに労働者が不必要に投獄されることが原因で、経済的な悪影響を及ぼす

このことからも、「薬物の害を減少させる」「薬物の取引量を減らす」という目的においては、規制は不適切な政策であることが統計とデータから示されており、規制の結果として直接的な違法薬物の取引の増加と、公衆衛生上の害を招くと指摘されている。事実、日本においても薬物の規制は常に強化され続けているが、2019年には大麻関連事件の摘発者数が初めて4,000人を超え、6年連続で増加を示していることからも、厚生労働省の規制政策は意味を成しておらず、また今回の不必要に厳格なTHCの閾値はさらなる公衆衛生上のリスクを招くと考えられる。(7)

⑥国家間のユーザーの移動を制限することになる

カンナビノイドは相乗効果が非常に重要であると考えられており、場合によっては、0.1%以下の値の成分の違いでも治療効果に差が生じる場合がある。そのため、CBDを医療目的で利用している患者や、セルフメディケーションで利用しているユーザーの多くは、THCを完全悪として考えておらず、むしろ場合によっては症状の緩和や改善に必要でさえある。

しかし、今回非合理的なTHCの閾値を設定してしまうことにより、まず国家間のカンナビノイド製品の行き来が大変難しくなる。次にセルフメディケーションとして、高品質なCBDを外国で使用しているユーザーや、治療に必要な患者も、日本国内で手に入るCBDで同等のQOLを維持しにくくなるため、これは日本に外国人が来ることを躊躇う理由になる可能性があり、今後の移民、留学や、旅行などさまざまな分野の政策でデメリットを被る可能性がある。アメリカでは既に酒を飲むユーザーよりも、大麻を吸うユーザーの方が多いため、今後もカンナビノイドの利用者は増え続けることを考慮しなくてはならない。(9)

1ppmのTHCの閾値では不十分であり、世界的にはCBDにおけるTHCの残留値はEUやWHOが推奨する0.2%、もしくは米国が認める0.3%であるため、これに合わせることにより、物資、ユーザーや、患者の移動が滞りなく行えると考える。

 

【結論】

THCの規制を不必要なまでに厳しくし、閾値を1ppmに設定することにより、さまざまな経済的な損失と、公衆衛生上の悪影響が生まれる。従って、実際に運用していくための現実的なTHC閾の提案としては、原料の場合は輸入時は、EUやWHO基準に合わせて、最大で0.2%までTHCの含有量を認め、微量がTHCに変換されるリスクなども加味して、最終製品では米国基準である0.3%未満を日本国内で認められる値に設定することにより、国家間の人と製品の移動を容易にし、持続的な経済の発展に貢献できると考える。

 

【参考】

(1)https://x.com/cbdjapan/status/1493842471784415233?s=46&t=2JsaGQvYfIdwsuHGNdt9uQ

(2) https://www.euromonitor.com/article/日本のカンナビス市場主要トレンド法改正に見出すcbd市場の商機

(3) Hundreds of Economists: Marijuana Prohibition Costs Billions, Legalization Would Earn Billions | ACLU

(4) The Budgetary Effects of Ending Drug Prohibition | Cato Institute

(5) https://hightimes.com/business/u-s-census-bureau-shows-5-7-billion-collected-in-cannabis-tax-revenue-since-q3-2021/

(6) https://www.google.com/url?q=https://www.scribd.com/fullscreen/56924096?access_key%3Dkey-xoixompyejnky70a9mq&sa=D&source=docs&ust=1719563306162120&usg=AOvVaw3bqAE4vGaFDke6L4lMYMMh

(7)https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00710/#:~:text=URL%3A%20https%3A%2F%2Fwww.nippon.com%2Fja%2Fjapan,100

(8) https://www.med.or.jp/doctor/international/wma/lisbon.html

(9) https://toyokeizai.net/articles/-/757257?display=b



【まとめ】

厚生労働省が管轄する厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課や、麻薬取締部は、違法な大麻の輸入を約10年間に渡って許可し続けた。その結果、日本国内には違法なCBD市場や、合成カンナビノイド市場が形成され、また大麻の流通も爆発的に増加した。従って、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の改正において、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課が、本法案の担当として、規制の是非や、命令の案を提出するのは不適切であると考える。本件についての事実調査を求めると同時に、厚生労働省内で専門チームを編成し、再度規制案について検討するべきであると提案する。

 

【本文】

第211回国会で松沢成文議員が提出した「大麻由来成分『CBD』の違法な流通実態に関する質問主意書」で、国内の違法なCBDの流通実態が指摘されている。以下に指摘内容をまとめる。

一 植物の特性や経済的合理性の観点から成熟した茎と種からCBDを製造することは困難だと考えるが、政府は、成熟した茎と種からCBDを抽出し、その原料や製品を製造することが可能だと考えているのか。

二 もし可能だと考える場合、どういったデータを基に製造可能と判断しているのか。

三 大麻樹脂などを含む規制部位の付着や製造上のコンタミネーション(混入)についてどのような方法で監視しているのか。

四 多くの専門家が述べているように、CBD原料及びその製品が茎と種のみから抽出できないとの情報が正しいのであれば、政府は国民を大麻取締法違反から守るための対策を採るべきだと考えるが、政府の見解如何。(1)

要約をすると、日本国内で流通しているCBD製品は、茎と種のみから抽出されていない可能性があることを指摘しており、それに関しての事実確認と政府の見解を伺ってる。

大麻取締法の第一条では「『大麻』とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」と定義されており、仮にCBDだとしても、茎や種以外から抽出した製品や原料(花穂や葉など)は、大麻取締法第一条で定義されている法律上の「大麻」にあたる。

これに対して、令和5年6月2日に、内閣総理大臣の岸田文雄氏が回答として別紙答弁書を送付しており、 (2)「大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条ただし書に規定する大麻草の成熟した茎及びその種子からCBD抽出し、CBDを含有する製品(以下「CBD製品」という。)を製造することは可能と認識」しており、さらに「政府としては、御指摘の『CBD原料及びその製品が茎と種のみから抽出できないとの情報』が正しいとは考えていない」と述べている。

しかし、松沢成文議員が提出したCBDに関する質問所内で、松沢議員は、「CBDを大麻草の「成熟した茎と種」からのみ抽出することは、植物の特性及び現在の製造技術からも現実には不可能である。米国の麻薬取締局(U.S. DRUG ENFORCEMENT ADMINISTRATION)と司法省(U.S. DEPARTMENT OF JUSTICE)も、「大麻草の茎と種子からCBDを含む抽出物を製造するのは現実的ではない」ことを公式見解の中で明らかにしている。また、米国の麻産業協会(US HEMP INDUSTRY ASSOCIATION)の責任者も、「米国で製造される九十九%のCBDは大麻草の茎と種ではなく、葉、花穂から抽出されてると述べている。」という見解を示している。(1)

これが事実だとすれば、国内に流通しているCBD原料や製品の多くが法律上の「大麻」にあたる可能性があり、CBD市場は2023年時点で既に240億円の市場規模があるため、日本政府や、麻薬問題を担当している厚生労働省は、数百億円規模の違法大麻産業を事実上容認してきたことになる。(3)

今回のパブリックコメントの募集にあたり、弊社の方で原料の輸入を行っている国内の事業者7団体と、CBDを取り扱っており日本に輸出経験があるアメリカのラボ4つに対して、聞き取り調査を行った。その結果、基本的に国内の全事業者が、自身が輸入しているCBDが合法であると認識し、その根拠として輸入時に種と茎から抽出したという証明書を担当部署の麻薬取締部に提出しており、担当部署が書類を見て判断した上で輸入を許可しているからだと述べている。しかし、それに対して、アメリカのラボは4社中のうち3社が自社のCBDは基本的に葉や、花穂から抽出されていると述べており、残りの1社は回答を拒否した。これは、松沢成文議員が提出したCBDに関する質問書内で、米国の麻薬取締局、司法省や、麻産業協会が述べた認識と概ね一致している。従って、もし国内で流通しているCBDがほとんど全て種や茎から抽出されたものである場合、岸田文雄首相は答弁書において、虚偽の内容を回答した可能性があるため、この問題について追求するために追加調査を行った。

2020年に行われた研究によると、大麻の種子に含まれるCBDは0.0002%~0.00205%程度であり、他の研究を参照してもいずれも0.1%に満たない。(4)また2017年に行われた大麻草の部位ごとに含まれるカンナビノイドを調査した研究によると、茎に含まれるCBDの濃度は0.1~0.3%の範囲内であることが報告されている。(5)CBDの生産に特化した大麻草の花穂では、最大で9.9%のCBDを生産することが報告されていることから、茎や種に含まれるCBDは花穂に対して、非常に低い値であることがわかる。(6)従って、CBDを種や茎から抽出することの経済合理性を考慮すれば、事実上不可能であると言わざるを得ない。

CBDアイソレートの日本国内においての末端流通価格は1gあたり400円前後であるとされている。一般的に考えれば、これはアメリカ現地のCBDの流通価格に加えて、輸入や検査のコストを費用として上乗せしている価格になるが、茎に含まれるCBDの総量が最大で0.3%程度であったとしても、平均栽培下で約10%のCBDを作る花穂よりも生産効率が30倍以上も劣る上に、例えば抽出用の機械に一度に装填できる植物素材の重量(数キロ程度)を考慮すると抽出効率は非常に悪く、茎と種のみから抽出したCBDだけが、現在の価格で日本国内で流通しているとは考えにくい。

従って、松沢成文議員の質問に対して、岸田首相は虚偽の内容、もしくは誤った内容を解答した可能性があると考える。しかし、岸田首相自身が、積極的に大麻に関して情報収集を行っているか、もしくはコアなCBDユーザーである場合を除いては、自身の知識のみでこの答弁を行ったとは考えにくく、担当部署である麻薬取締部や、監視指導・麻薬対策課に事実確認を行った可能性が高い。もし、上記が事実であった場合、厚生労働省は「「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進」する省庁にも関わらず、国内の違法な大麻の流通を実質的に容認してきたこととなり、特に大麻や麻薬問題を担当している麻薬取締部や、監視指導・麻薬対策課の責任は重いと考える。

そして当該の件において、CBDを使用したことがある一般国民はもちろんだが、国内でCBD原料の輸入・販売を行っている事業者も完全な被害者である。事業者はラボから茎や種から抽出されているという証明書をもらっている上で、問題なく通関した原料のみを販売しており、またCBDは国内で厚生労働省にも認められているという認識であるため、善意の第三者である。そして、CBD原料の製造や輸出を行っているラボは基本的に海外にあるため、日本国の法律は適用されない。従って、本件においての責任を追求するのであれば、それは厚生労働省が当該問題を認識していた上でCBD原料の輸入を許可し続けていたかどうかという点である。

CBDの輸入に関する資料によると、「厚生労働省が行う「大麻」に該当するか否かについての回答は、あくまで提出された資料に基づいて行うものであり、実際に輸入しようとするものが「大麻」に該当しないことを判断するものではない」(8)とあるが、これは個別の輸入事例の話であり、一国家の省庁として、違法なCBDの流通実態を容認していたかに関しては別問題である。

CBDは2013年に初めて輸入許可が降りたと伺っている。つまり、既に10年間以上CBDは国内で流通しており、大麻問題を管轄する麻薬取締部や、監視指導・麻薬対策課には、事実確認を行う十分な時間があったと考える。にも関わらず、違法なCBDの輸入を許可し続けていたということは、

①違法であると知らずに許可し続けていた

②違法であると知っていた上で容認していた

の2つの可能性が考えられる。

①である場合は、厚生労働省の現状把握能力、及び市場調査能力は、一個人や、一事業者の調査能力にも劣ることを示しており、違法なCBD原料の流通の実態を把握できていないため、国家省庁として機能をしていない。

②である場合は、CBDの輸入を許可し続けている担当部署の麻薬取締部は、大麻取締法違反、もしくはその幇助にあたる可能性があるため、刑事罰と責任を追求する必要があると考える。

従って、いずれの状況にせよ、厚生労働省及び、担当部署である麻薬取締部や、監視指導・麻薬対策課は、カンナビノイドや大麻のことを全く理解していないか、もしくは理解した上で犯罪に加担したことなるため、今回の大麻取締法改正にあたっての政策や規制案を提案するのは適切ではないと考える。

また、今回の大麻取締法改正にあたって、担当部署はTHCの上限値に関しても1ppm以下を求めており、これを「Δ9-THCがその濫用による保健衛生上の危害が発生しない量として政令で定める量以下」としているが、これは裏を返せば、1ppm以上のΔ9-THCは「濫用による保健衛生上の危害が発生」する可能性があると監視指導・麻薬対策課は考えていると捉えられる。にも関わらず、麻薬取締部は1ppmの3000倍にあたる、3000ppmまでのTHCが含有されているCBDの輸入許可を出していた事実があり、さらに2013年からの約10年間、輸入時に許可されるTHCの上限値の基準について開示を行わなかった。

株式会社あさやけの白坂代表は2013年時点では、最大で0.3%以下のTHCが含まれるCBD製品は輸入が許可されていたと証言しており、また2019年までは0.1%以下であればTHCが含まれていても輸入ができたと複数の事業者からTwitter上などで報告が上がっている。株式会社あさやけの代表はまた、2017年の4月11日に厚生労働省に対して、CBDに含まれるTHCの基準値に対して情報の開示請求を求めているが、2018年6月8日に返ってきた文書の大半が黒塗りで隠蔽されていたため、明確な解答を得られなかったとしている。(7) 厚生労働省の説明によると、CBD製品の輸入許可基準を明らかにすると犯罪につながるとして、厚労省は不開示と回答したが、具体的にどのような犯罪に繋がるかが明確に説明されておらず、また犯罪に繋がるTHCの基準をなぜ今開示することにしたのかについて説明を求める。

 

【結論】

麻薬取締部や、監視指導・麻薬対策課は、違法なCBDの流通を10年以上に渡り容認してきた可能性があり、国内の巨大な「大麻」産業の形成に貢献した。今回の合成カンナビノイドの一連の事件も、元を辿れば2013年の時点で、麻薬取締部や、厚生労働省がCBDに対して適切な調査を進め、その合法性を問いただし、水際対策を行っていれば、カンナビノイドの輸入の前例がそもそも作られなかった。また、健全な市場の生育を目的としたTHCの基準値に関する情報開示請求に対して、厚生労働省は不明瞭な理由で情報開示を行わなかったにも関わらず、今回の改正大麻取締法にあたっては、従来までに許可を出していた基準の3000倍厳しい基準を提示しているが、なぜこの値が「濫用による保健衛生上の危害が発生しない量」に値するかの根拠が不十分であり、また1ppm以上が有害であると考えているなら、なぜ10年間もの間1ppm以上のTHCの輸入を実質的に認めていたかが不明である。

以上のことから、麻薬取締部や、監視指導・麻薬対策課は大麻、およびカンナビノイドの取り扱いに関して不審な点が多く、また大麻取締法に違反している可能性がある。当該事実に関しての、事実調査を求めると同時に、大麻取締法改正においての規制や、政策の提案に関しては、監視指導・麻薬対策課が案を提案するのは不適切であると考えるため、別途専門のチームを創設し、科学や医学的見地に基づいた根拠とデータの提示を求める。

 

【参考】

(1) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/syuh/s211082.htm

(2) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/toup/t211082.pdf

(3) https://news.nissyoku.co.jp/news/fujimura20240423010109574

(4) https://www.mdpi.com/2305-6320/7/9/57

(5 Determination of Acid and Neutral Cannabinoids in Extracts of Different Strains of Cannabis sativa Using GC-FID – PubMed (nih.gov)

(6) Plants | Free Full-Text | Impact of Harvest Time and Pruning Technique on Total CBD Concentration and Yield of Medicinal Cannabis (mdpi.com)

(7) https://cbdjapan.com/archives/4403

(8) https://www.ncd.mhlw.go.jp/dl_data/cbd/guidecbd.pdf



上部へスクロール
0
カートに商品はありません